岸まつえ 平和と希望のまち新宿をつくる会

岸まつえ図書室

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岸松江@つぶやきタマゴ 連載・29

「真実」のカ

月刊女性&運動2014・4

私は「真実」には力があると思っています。

安倍首相の暴走のひとつに、従軍「慰安婦」問題について「河野談話」の根拠となった元「慰安婦」への間き取り調査 などについて再検証するという動きがあります。

「河野談話」とは第2次世界大戦中に日本の占領地域での慰安所設置に「旧日本軍が直接あるいは間接に関与した」ことと「慰安婦」を連れてきた際の強制性を認め、「心身にわたり癒やしがたい傷を負われたすべての方々に対し心からおわびと反省の気持ち」を示したものです。

日本維新の会が今年3月3日に、「河野談話」の見直しを求める集会を東京で開いたり、ネット上では「河野談話」見直し署名が話題になるなど、歴史の「真実」をゆがめる動きはたえません。

さて、「慰安婦」であったことを最初に実名で名乗り出たのは、金学順さんという韓国女性です。金さんら韓国女性3人が初めて日本政府の謝罪と補償を求めて東京地裁に提訴したのは1991年のことでした。私は、当時元「慰安婦」たちの壮絶な経験を知りたいへんなショックを受けましたが、同時に、戦後四十数年以上たってからの訴えに、どうしてもっと早く訴えなかったのだろうとも思いました。

その後書籍等を通じて、人間としての尊厳・名誉を傷つけられた彼女たちが、儒教的貞操観念の根強い韓国において、自分と家族を守るために長い間沈黙を強いられたことを知りました。

そんな金学順さんに、長い沈黙を破って「真実」を語る決心をさせたのは、当時「民間業者のしたことで政府に責任はない」という日本政府の弁明だったそうです。「真実」をゆがめ責任逃れをする日本政府に対し、金さんは、自ら名乗り出て「日本軍の関与」のもとに「強制」された事実を告発したのです。

金さんが名乗り出たきっかけを知ったとき、言葉では尽くせない「真実」を背負ってきた苦しみと、それをなかったものとして踏みつぶそうとする動きを許さない強い決意を感じました。だから「真実」には力があるのでしょう。

思えば日本国憲法そのものが幾千万の戦争の犠牲者たちの「真実」の結実です。「真実」をないがしろにする人たちは必ず仕返しをされると思います。

(弁護士)

※「つぶやきタマゴ」は小さな「つぶやき」を温めて新しい何かが生まれたらいいなという思いをタイトルに込めました。

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