岸まつえ 平和と希望のまち新宿をつくる会

岸まつえ図書室

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岸松江@つぶやきタマゴ 連載・26

ブラック×ブラック企業

月刊女性&運動2013・10

「少年チャンピオン」やコミックなどを発行している秋田書店で、読者プレゼントの当選者の水増し発表(景品について5人当選と発表しているのに、実際は1人しか景品を発送していない)が発覚し、消費者庁が景品表示法違反として措置命令を出したことが報道されました。

その後、消費者庁に違法事実を告発した女性社員が、自身の懲戒解雇の撤回等を求めて裁判提訴を行い、私も弁護団弁護士として提訴当日の記者会見に望みました。

原告女性は、入社後月刊少女漫画誌の編集部に配属されますが、読者プレゼントの水増しに気づき、「おかしい」と声をあげました。すると「会社にいたかったら文句を言わずに仕事をしろ!」などと脅され、違法行為を強要されます。

原告女性は、読者の子どもたちをだましつづけることにがまんできす、会社に対し何度も是正を申し出るのですが、かえって激しいパワハラを受けたり過重労働を強いられたりして心身を壊し休職に追い込まれ、あげくに景品を窃取したという濡れ衣を着せられて懲戒解雇されてしまいます。

秋田書店のやり口は、長年違法行為を重ね、それを指摘した労働者をいじめ抜いて職場から排除するという、ブラック(違法)にブラックを重ねた悪質きわまりないものです。

記者会見で、原告女性は、「私は手塚治虫さんブラックジャックが大好きで、編集者になるのが夢でした。人を裏切らないブラックジャックが私の心の支えでした」「3・11の大震災後、私に何ができるか考え、子どもたちをだましつづける会社のやり方を変えたかった」と涙ながらに訴えました。

私は、夢を持ち生き方を真剣に考え、読者に対し誠実でありたいと願った20代の原告女性の言葉に胸が熱くなりました。

「人間らしく働きたい」という願いには、家庭と両立でき健康を維持できる労働環境で働くことの他に、不正行為を強要されずまっとうな人としての生き方を不当に侵害されずに働くという意味も含まれていることを、私の依頼者は教えてくれました。

残業代不払いやパワハラ、不当解雇など企業内で法令違反が横行する「ブラック企業」の言葉が知られるようになりましたが、以前から寄せられる労働事件の内容が、悪質・巧妙になっていると感じていました。若者たちの心身の健康だけでなく夢や希望も破壊してしまうブラック企業をなくしたいです。

(弁護士)

※「つぶやきタマゴ」は小さな「つぶやき」を温めて新しい何かが生まれたらいいなという思いをタイトルに込めました。

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