岸まつえ 平和と希望のまち新宿をつくる会

岸まつえ図書室

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岸松江@つぶやきタマゴ 連載・14

「人格権」って?

月刊女性&運動2012・7

「人格権」って間き慣れない言葉だと思いますが、人権を守る法律家にとっては、大切なキーワードです。説明するのは難しいのですが、とくに女性に知ってほしい言葉です。

「人格権」の根底には、ひとりひとりが同じように大切に扱われるべきという人権尊重の理念があります。

私なりにかみくだいて言うと、「ひとりの人間として人格を尊重されながら安心して働き暮らすことのできる権利」ということです。もっと言えば、不当に身体の自由を奪われたり嫌がらせされたり差別されたり、不当にイヤなことを強要されたりしないで、自分らしさを発揮して生きていける権利だと思っています。

たとえば、私がセクシャル・ハラスメント研修でお話するときは必ず、「労働者は職場で安心して良好な環境のなかで仕事に従事することのできる人格的権利があり、意に反する性的言動(セクシャル・ハラスメント)はこの『人格権』を侵害する行為です」と説明します。

実際の裁判でも、パワー・ハラスメントやセクシャル・ハラスメント事件などで出てくる言葉です。

具体的には「2人はできている」などの上司の発言を「Aの名誉感情、プライバシー権その他の人格権を侵害する不法行為」と認定した事案や、社長宅で家政婦的仕事をしていた女性社員が、社長から性的関係を迫られ、これを拒否したところ社長から種々の嫌がらせを受け解雇された事件で、社長の行為を「性的自由ないし性的決定権の人格権を侵害するものとして、違法」と判断した事案があります。

また、職場で労働者に対する懲罰として「2日間にわたって就業規則の書き写しをさせた行為」が人格権侵害の違法行為と認定した判例もあります。

さらに、家庭内でも、暴力や暴言、異常な拘束、生活費を渡さない行為などが広くドメスティック・パイオレンス(DV)とされていますが、この行為も、被害者の安心して人格を尊重されながら家庭生活を送る「人格権」を侵害する行為だと言えます。

「こんなことまで我慢しなきやいけないのかな…?」と感じたとき、この「人格権」という言葉を思い出して、私たちはだれもが人として尊重されるべき大切な存在であることを思い起こしてほしいのです。

(弁護士)

※「つぶやきタマゴ」は小さな「つぶやき」を温めて新しい何かが生まれたらいいなという思いをタイトルに込めました。

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